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1−2 直流・交流

電気回路を考える際に、大きく直流回路と交流回路に分けられる。直流と交流で働きが変わる素子が多いので、注意して考える必要がある。

a.直流[DC]

直流とは、電流が常に一定方向に流れる。
直流の電源としては、車のバッテリ・乾電池・太陽電池などがある。
電流は+(高電位)より−(低電位)へ流れる。

b.交流[AC]

交流とは、時間により電流の方向が常に変化する。
交流の電源としては、家庭用100V電源などがある。
一般的に交流電源は下図のような正弦波である。

<図−1.2.1>正弦波交流

交流においては、常に電圧・電流が変化するため、計算上扱いにくい。
そのため、直流の場合と計算上等価になるようにした値として、実効値[rms−route mean square]を用いる。
電圧の実効値とは、電圧の自乗を積分したものの平方根である。
式に表すと、

rms=√(∫v(t)2dt) [Vrms]

となる。
正弦波の交流は式に表すと、

v(t)=Emax・sinωt [V]

となる。
これを上記の実効値を求める式に代入し算出すると、実効値Erms

rms=Emax/√2 [V]

となる。
家庭用100V電源の100Vとは、実効値を示している。

c.交流電源の種類

交流電源にも種類がある。ここでは、電力会社より供給される代表的な交流電源について説明する。

i.単相交流

家庭用に引き込まれているのが、単相交流である。

<図−1.2.2>単相交流電源

単相交流は、上図のような形でトランス(変圧器)より供給される。
家庭用などで引き込まれるのは、単相3線式という形になっており、3本の線のうち2本を選択して取ることにより、100Vまたは200Vの電源を得ることができる。
a−bまたはb−cから取ると100Vを、a−cから取ると200Vが得られる。
b点を基準にした場合のa点、c点の波形は、逆位相になる。ベクトルで表すと180°の向きになる。

<図−1.2.3>単相交流の位相関係


ii.3相交流

大出力モータなどの動力に使用する電源が、3相交流である。

<図−1.2.4>3相交流電源

3相交流は、単相とは違いs、t、r3本それぞれの間の電圧が200Vとなる関係になっている。
中点(ニュートラル)nは通常電位的に常に0Vであるため、電流は流れない。
nを基準とした場合のs点,t点,r点は、それぞれ120°の位相のずれがある関係になっている。
この位相のずれがあることにより、誘導電動機はモータの回転トルクが得ることができる。

<図−1.2.5>3相交流の位相関係



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